総合診療

ピロリ菌検査・除菌治療

ピロリ菌を除菌することで胃がん予防につながります

ピロリ菌は胃の粘膜に生息する細菌で、胃炎や胃潰瘍などの胃の病気に深く関っていることがわかっています。
胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の再発をくり返すときは、ピロリ菌に感染していることが多く、日本の男女共にがんの死亡原因の多くを占めている胃がんとピロリ菌は密接に関係しているといわれています。

ピロリ菌とは?

  • ピロリ菌は胃の粘膜に生息しているらせんの形をした細菌で、胃炎や胃潰瘍などの胃の病気に深く関わっていることが研究で明らかにされています。
  • ピロリ菌の感染経路はまだはっきりとわかっていませんが、口を介した感染(経口感染)が大部分であろうと考えられています。感染率は乳幼児期の衛生環境と関係していると考えられており、上下水道が十分普及していなかった世代の人で高い感染率となっています。
  • ピロリ菌の感染による炎症が続くと、感染部位が広がってヘリコバクター・ピロリ感染胃炎になります。長い期間炎症が続くと、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・萎縮性胃炎を引き起こし、さらに進むとその一部は胃がんに進展するといわれています。
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍の人がピロリ菌に感染している場合、ピロリ菌を除菌することで、完全というわけではありませんが、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発が抑制されることがわかっています。

【参考資料】武田薬品工業株式会社 / 大塚製薬株式会社 ピロリ菌除菌療法を受ける患者さんのためのQ&A

ピロリ菌の検査

当院では胃内視鏡(胃カメラ)により採取した胃の組織を用いて、ピロリ菌に感染しているかどうかの検査を行います。

ピロリ菌の除菌治療

  • ピロリ菌に感染していた場合、胃酸の分泌を抑える薬と2種類の抗菌薬を7日間服用して除菌治療を行います。
  • 治療開始から4週間後、ピロリ菌が除菌できたかどうかの判定検査(尿素呼気試験)を行います。
目的と意義

ヘリコバクター・ピロリ菌(以下ピロリ菌)は胃粘膜の表面に存在する細菌で、40歳代以上の日本人の7割が感染していると言われ、胃炎や胃・十二指腸潰瘍再発の原因のひとつと考えられています。従って、この細菌を駆除してやれば、今後の潰瘍の再発が無くなる期待が持てるようになりました。但し、その成功率は70~80%で、除菌治療を受けられた方すべてが成功するわけではありません。それはあなたの胃に存在するピロリ菌が、今回飲んで頂く抗生物質に対しすでに抵抗力(耐性)を持っているか否かによって違ってきます。その違いを除菌治療前に判定することは現在のところ不可能ですので、とりあえず治療薬を飲んで頂くことになります。ピロリ菌の除菌治療は、現在ある潰瘍を治すための治療ではなく、あくまでも今後の再発を予防するためのものですから、除菌に成功したからといって、潰瘍の治療を中断してはいけません。潰瘍の程度にもよりますが、6ヶ月間は潰瘍治療薬を続ける必要があります。なお、除菌治療薬を飲んで頂いている間は潰瘍治療薬を飲んで頂く必要はありません。除菌ができなかった場合には従来の潰瘍治療を続けて頂き、新しい薬が開発され発売されれば、再度除菌治療を受けて頂きます。

除菌治療方法

1日2回、朝食後と夕食後に飲んで下さい。但し、食事をしなくても飲んで頂いて結構です。1週間のことですから、欠かさず飲んで下さい。欠かしますと、治療効果が減弱します。

服用中の注意事項

除菌治療を飲みはじめてから2~3日で味覚が低下したり、軽い腹痛や下痢が起こってくることがありますが、心配ありませんので、できるだけ最後まで飲んで下さい。当院ではこのような副作用を予防するために、除菌治療薬とともに整腸剤もお出しします。この薬だけは1日3回飲んで下さい。

但し、除菌治療薬服用中に万が一、次のような症状が一つでも出ましたら、直ちに服用を中止して下さい。
(当院ではまだそのようなことで治療を中断された方はおりません。)

  1. 冷や汗が出るような激しい腹痛が1時間以上続くとき
  2. 他に症状がないのに38度以上の熱が出たとき
  3. 下痢便に血が混じってきた場合(血便)
除菌治療の効果判定

除菌治療後、1ヶ月を過ぎてからピロリ菌が駆除できたかどうかの検査を行います。

  • 再度内視鏡を受けて頂く必要はありませんが、内視鏡検査の時と同じように、前日の夜9時までに食事を済ませ、あとは絶飲絶食、タバコも吸わないで当日午前中にお越し下さい。
  • ご来院当日は受付で「今日はピロリ菌の検査にきました」とおっしゃって下さい。すぐに検査にまわって頂きます。
  • 検査は、まず小さな袋に息を吹き込んで頂き、その後コップ1杯の水にとかした薬を飲んだ後20分間安静、その後、もう一度別の袋に息を吹き込んで頂きます。
尿素呼気試験の呼気採取法
【1】 ユービット錠の服用前に呼気を採取して下さい。
【2】 ユービット錠(1錠)をつぶしたりせず、空腹時に水100mlとともに噛まずに速やかに(5秒以内に)服用して下さい。
【3】 服用後、体の左側を下にして5分間横になって下さい。
【4】 その後は15分間座って下さい。
【5】 ユービット錠服用20分後にもう一度呼気を採取して下さい。
呼気採取方法のポイント
  1. 呼気採取バッグを口にあて、鼻から息を吸って5~10秒程度息を止めて下さい。
  2. その後、呼気採取バッグにゆっくりと息を入れて下さい。
  3. 息止めが苦しい場合は2~3回に分けて入れても大丈夫です。
  4. 呼気採取バッグには肺の中の息を入れるようにして下さい。

※呼気を採取したバッグには必ずしっかりとキャップをして下さい。

判定検査結果
  • 当院では判定検査結果が当日わかります。
  • 判定検査でピロリ菌がいなければ除菌治療はこれで終了です。
  • もし除菌ができていなければ、二次除菌療法を行います。

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